黒曜の戦場
「……人によるんじゃない?」
自分だって多少強引な所もあるしだし、命令するのだ。
これを嫌ってしまったら自分を全否定することになる。
生意気だという自覚は一応、あるのだから。
「人による、か」
「人のこと言えないからね。まぁ私より弱いのはごめんだろうけど」
ふぅ、と一息つく。
すぐ諦めたり放棄したり卑下したり、そういう弱い人って苦手なのよ私。
手を止めて見上げると、いつの間にポーズをやめて立っていたのか、いおが私のすぐ前に立っていた。
「強ぇ奴ならいーのかよ?」
「……心がね」
「へぇ。どうなんだろうなァ」
なにが……と言いたかった唇に近付いてくるいおの顔。
何する気だ……と固まっていれば、迷いなく塞がれる唇。
呼吸が、止まった。
「……ん!?」
しかも長くて、調子に乗ったいおは唇をはむはむ、動かしてくる。
ちょ、まってなに急に!?
そう思い頭を引こうとするも、首の裏に回った手に逃げ場を無くされる。
ていうかこいつまさか、こういうのに慣れてない?