黒曜の戦場
「ちょ……」と抗議の声をあげようとすれば、隙間から彼が入ってくる始末。
もう、やりたい放題じゃないの!!
いおの体勢を崩そうとその腕に手を回そうとした所で、唇が離れた。
「悪ぃ、我慢できなかった」
両手を上げて離れるいおに、私はそれ以上なにも出来ない。
先に外されては、抵抗の意味が無くなる。
というか、なんで少し受け入れちゃってたの私?
舌噛むなりなんなり、いくらでも出来たのに。
頭が熱い、息が上がってる、呼吸を止めてしまっていた。
そして、そのモヤっとした胸の陰りを消すように。
「アンタ……女に慣れすぎ」
最低、最低、最っっっ低!!
中学の頃に散々していたのか、それとも現在進行形なのか。
私相手に正面から堂々と来るなんて思っていなくて驚いたけれど、この男は誰にでもあんなことをするんだろうか?
気付けば、私は逃げ出していた。
ショックを受けている、けど何に対して?
なんで避けられたものが避けられなかったの?
なんで痛めつけたくないと思ってしまったの?
なんで……遊んでいる奴なのかと思ったら、こんなに胸が痛むの?