黒曜の戦場


囲い込むってそんな、そんなぁ〜。

突然そんなことを言われても、琥珀の中ではそんな感覚は無くて。



「いや、咲くん、ずっとついてくる訳でもないし」



別に、囲われてなんて……ねぇ?

というか、囲われているってどんな風に?

琥珀はイマイチぴんときていません。



「いや、もうほぼ抜け出せねぇ所まで咲に囲われてんだよ、お前」

「いやいやまさかぁ〜!ていうか、別に逃げたいわけでもないし……」



そんな風には感じていない琥珀ちゃんは、この時まで気付いていなかったのです。

黒曜のメンバーになることとは、上から三番目に偉いこととは。



「そもそも、黒曜に入れられた時点でお前、咲の特別な奴だって言いふらされてるもんだぞ」

「………………え?」

「その上ご丁寧に、学校でも俺ら集めてお前のクラス行ったろ。それでお前、一気に恐怖の対象確定なんだわ」

「…………………………え?」

「学校の連中は今まで通り接してくれるかもしれねぇが、心ん中じゃお前を怒らせねぇようにしてんだろうよ」



だんだんと話の雲行きが怪しくなってきた気がする。

ようやくこの時、琥珀は今の立ち位置をちゃんと自覚することになったのだった。
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