黒曜の戦場
「今度は泣きそうだね。いおりと雨林に虐められた?」
「もう頭の中言いたいことでごちゃごちゃしてるの……」
「俺に話があったんだっけ?聞くから部屋付いておいで」
さりげなく優しく握られる手に導かれて、私は咲くん以外入れないはずのお部屋の中に、すんなりと入れてもらっていた。
「ネーム?」
「うん、プロットとかネームでちょっと机の上ごちゃごちゃしてて、ごめんね」
ソファーに座らせてもらい、部屋を眺める。
以前この部屋に来たときは、琥珀が眠っちゃっていたからか真っ暗で、みっちょんがドアを開けてようやく少しだけ見えたのを覚えている。
「いいの?琥珀この部屋入っちゃって……」
「俺がいいって言ってるからいいんだよ。呼びたい時でも何も無い時でも、自由に来ていいよ」
「……他の人はダメなのに?」
「琥珀だけ、だよ」
一瞬、鋭い瞳に捕らわれたけれど、一瞬にしていつものにこやか咲くんに戻った。
早くも心臓がドクドクしている。
そ、そうだ、つい勢いでついて来てしまっていたけれど、咲くんとは、ち、ちぅを…………!!!
けれど、いつも通りな咲くんに、琥珀だけが、一人で焦っている。