黒曜の戦場
「今出来てるのはプロットだけでね。あ、プロットっていうのは物語の要約、ネームはコマ割りや構図をざっくり描いたイメージ図みたいなものなんだけど」
プロットとネームの紙を見せてくれながら、咲くんはそう琥珀に教えてくれた。
そういえば琥珀が関わっているのは作画段階だけなので、物語での用語は初めて聞くかもしれない。
プロットと、ネームっていうのか。
といっても、物語がどうやって創られていくのか、琥珀はよく知りません。
なので、これが本当に形になるのか……琥珀には想像がつかなくて。
「こ、これは……」
ネームと呼ばれたものには、ふにゃふにゃな棒人間の絵と、コマ割りのようなものが何ページもあって。
指示のような文字も書いてある。
「あ、これネームのネームだからね」
「ネームのネーム!!?」
「いおりに渡す、漫画のイメージだよ。絵が下手だから、これを解読してもらってから、ネームになるけど」
「解読!!?いおくんが!?」
「担当編集さんとも相談するから。これだけだとただの落描きなの」
咲くんの絵は……そう、独特だった。
画伯ってやつかもしれない。