黒曜の戦場


咲くんは絵がちゃんと描けるわけじゃないから、こうして文章で主に説明することになるのかもしれない。

ネームのネーム……つまりこれを、いおくんが整理して漫画のネームにするってこと?

それからまた、原稿に描く……って。



「すごい手間だ……」

「俺が漫画に詳しかったり絵がうまければ、ここの工程ひとつ省けるんだけどね」



そう言って咲くんは、気弱そうに笑う。

ほんとに絵は苦手みたいだなぁ。



「頭を一番使う作業はこのネームくらい。ネームが出来ちゃえばあとはひたすら作画だから、みんなにバトンタッチできる」

「そうやって漫画って、みんなで作りあげていくんだね」

「一人で全部描いちゃう人も結構いるけどね」

「それはヤバい」



少なくとも琥珀は、何時間も腰曲げて作業するの、結構キツいのだ。

首と腰にくるし、集中してるから体が動かすことも忘れちゃう。



「ところで、琥珀ちゃんの話?お願いだっけ?なにかな?」

「はっ!!!」



琥珀ちゃんとしたことが!!!

つい漫画のことになるとそっちに意識が向いちゃって忘れそうになっていた!!いかんいかん!!

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