黒曜の戦場
「下の連中にはさ、強い立ち位置の女だと思って欲しいわけだよ。守られる女じゃなくてね、俺が守りたい女の子なの」
「……ほぇ?」
「下の連中からは尊敬される人であって欲しい。俺たちの関係が変わっても、女帝っていう枠には付いたまま変える気は無い」
絶対みっちょんの方が合ってるのに……!!!!!!
琥珀、女帝感ないよ!!?
「まぁ、名称なんていいんだよ。俺にとって特別で、大切で。守りたい人だってことさえ知られていれば、今はいい」
「…………琥珀サラッとくどかれた……?」
「ふふ、どう思う?」
優しい顔した咲くんが近付いてきて、琥珀はきゅっと固まる。
柔らかく頭を撫でてくれる咲くんの指に、心がほっと落ち着いて、どくどく、心臓が暴れる。
固まったり落ち着いたり、咲くんに対して琥珀は忙しくなってしまった。
「……咲くん、囲われてるって言われた」
「いおりかな?」
「そう……琥珀、咲くんに囲われてるの?」
「ふふ、バレちゃったか」
バレちゃった、なんて言う割には冷静な咲くんが、私の手首につけている黒曜と琥珀のブレスレットを撫でる。
そうだ、黒曜に入った証に……。