黒曜の戦場


「……え、あ、みっちょん」



へらり、琥珀は笑う。

いつものように。

それを胸の中に仕舞って。



そうして笑っていたらまた、みっちょんもにこりとわらってくれるんじゃないかって。



「琥珀、自分の気持ちを無視するんじゃない」

「……」

「またあんな風に、不安が爆発する琥珀を、私は見たくないよ」

「……みっちょん」



ダメだよみっちょん。

今琥珀、目の奥がつんって痛くて、何か溢れてきちゃいそうなんだから。

我慢しなくちゃ、午後の授業が受けらんなくなっちゃいそうだよ。



「みっちょん、なんだかママみたいだなぁ。いおくんの面倒見てくれて、琥珀の面倒見てくれて」

「心配くらいするでしょ」

「琥珀は……たぶんだいじょぶなのよ」

「大丈夫じゃなかった頃があるから気にしてんじゃない」

「みっちょんは優しいね」



でもね、琥珀、ちょっとまだ気持ちがぐちゃぐちゃってしてて。

どうすればいいのか、わからないの。



咲くんさっき、女の子から肩に手を置かれていたな、とか。

あんなに囲まれているのはいつものことなんだろうか、とか。
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