黒曜の戦場
「アイツ、女と付き合ったことないぞ」
「…………うん?」
「キスもねぇ。そういう遊びはしねぇ奴だ。真剣になった相手以外」
真剣になった相手以外?
「アイツ、あれでもすーげぇ頑固で、好きなもんに一筋なんだよ。だから女関係じゃお前の事が初めてで……」
「はじめて……?なにが?」
「だから……」
こいつマジかって顔して見られている。
琥珀もこいつ何が言いたいんだっ!?って顔して見返したら、盛大なため息が吐かれた。
なんでっ!?
「こりゃ、アイツも手こずるわけだわ」
スマホを取り出し、何か操作するいおくん。
琥珀はようやく引いてきた涙や鼻水を最後に拭って、ティッシュをゴミ箱に捨てた。
「先に言っておくが、この件に関しちゃ咲が悪ィ。アイツが抑え効かなかったんだろ」
「ふぁい?」
「つまりお前、俺が言ったことは間違いでもねぇし、お前が受けたことも偶然じゃねぇ。咲を神聖化すんじゃねぇぞ?アイツは男だし欲情もすっし、お前もガキじゃねぇ」
「……」
「お前、黒曜の下の部屋で少女漫画読んでんだろ?自分の恋愛はどうなんだよ?考えたことあんのか?」
「自分の、恋愛……?」