黒曜の戦場


「お前もここまで思ってなくとも、咲のことは好きだろ?じゃねぇとそんな悩まねぇだろうし、信頼してる事なんて見てりゃわかる」

「……うん」



咲くんのことは、信頼しているし、とても好きだ。

でも気持ちが追いついてこなくて、パニックになっちゃうんだ。



「緊張したり、上手く話せなくなったり、胸が痛くなったり」

「!うん」

「そういうのは、相手が特別だから、自分の体が勝手に反応することだろ?」



……咲くんが、特別だから……?

その気持ちはストンと琥珀の心の中に落ちてきた。

納得、できたんだと思う。



恋愛って意味ではわからない。

けれど、特別って意味では、咲くんは確かに、特別だってわかる。



琥珀が居やすいように黒曜でみんなに話してくれていたこと、いつも黒曜と家へ送ってくれること、ピンチになったらいつも駆けつけてくれるところ、優しく触れてくれるところ、琥珀に合わせてはなしてくれるところ、一緒にいて居心地のいいところ……ちょっぴり怖い時があるけど、それも琥珀の為だったところ……。

琥珀は、そんな咲くんだから、信頼している。

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