黒曜の戦場
廊下から足音が響いてくるのを感じると、ガラリと保健室の扉が開かれる。
「琥珀っ」
そこには、エプロン姿の咲くんがいて…………?
え……なんでエプロン……?
と思ったけれど、答えはすぐに導き出せた。
「家庭科……?」
「おー咲。やっと来たか」
「あ、エプロン取り忘れてた」
そうやっていそいそとエプロンを脱ぐ咲くんも、かっこ可愛いと思った。
あれ、お料理男子いいかもしれない……かっこいい……?
ちょっとなんだかずきゅんと来てしまった……。
ていうか咲くん、ちゃんと授業受けてるんだなぁ……あれ、でも今授業中では?
「……咲くん、なんで」
「俺が呼んだ」
「呼んだ!?」
あ!さっきスマホいじってた時に!?
でもこんなに早く来ちゃうなんて、咲くん授業中にスマホ!?
「まだ始まってすぐだったから。そんなことよりどういうこと?『琥珀が喧嘩した』って」
「え!?」
「俺のせいって……どういうこと?」
そんなメッセージ送ったの!?なんていおくんを見上げれば、ニヤニヤニタニタした顔を向けていた。