黒曜の戦場
それから一息ついてから琥珀の隣に座り、じっと顔を見詰められるけれど、視線を合わせられない琥珀。
うぅ……今その顔を見る勇気がないよ……。
「それじゃあ、話をしようか」
そうやって二人の時間は、静かに幕を開けた。
「話を聞いた限り、俺が琥珀ちゃんを混乱させちゃって、ミツハちゃんとの喧嘩の原因になったって、そういうこと?」
「け、喧嘩っていうか……琥珀が悪いの、琥珀がみっちょんのお話、受け入れきれなくて逃げちゃったから……」
あれもこれもそれも、逃げてばかりだと。
そういう自分に嫌気がさす。
「いっぱいいっぱいだったの」
そうして再び涙がポロリと落ちていく。
さっきさんざん泣いたのに、まだ足りないかというように。
「ひとつ聞いていい?」
「……うん?」
「琥珀の頭の中、俺でいっぱいになってた?」
緩やかに、その手が琥珀の頬に触れる。
それも、嫌だとは思わない。
不思議だ、咲くんのちぅにすごくすごく頭が混乱させられるのに、こうしてただ触れられているだけだと安心すらさせられる。