黒曜の戦場
「いっぱい……だった」
「うん」
「咲くんのことばっかり……」
女の子に囲まれて、その中にいる咲くんは避けもしないで、そんな咲くんはいつも琥珀にこうして触れてきて、ちぅしてきて。
どっちも咲くんだけれど、囲まれている咲くんを見てモヤモヤする自分がいて。
何で混乱するのか?
どうしてわけがわからなくなるのか?
それは──。
「咲くんの気持ちが、わからない、から」
「うん」
「……琥珀の気持ちも、わからないけど」
「ふふ……うん、そっか」
そうだ、気持ちがわからないからぐちゃぐちゃする。
でもそれはさっき少しだけいおくんに解いてもらって、それからそれ以上に混乱させられることを言われた。
欲なんて……咲くんにあるんだろうか?
なんでもさらりとこなしてしまうようなこの人に。
「咲くんは、オオカミさんでもくまさんでもない……」
「うん?」
「…………さ、咲くんがちぅ、してきた、のは……」
けれど、神格化するなと言われた。
咲くんも男の子なんだって。