黒曜の戦場


でもその特別な好きって、どうやって見つけるのか、琥珀には難しくて。

胸に手を当てて考えた。

きっとすごくぽかぽかする、あの気持ちの先に、何かあるんじゃないかって。

でも、そのぽかぽかな気持ちをまたどうやって見つけるのか、どうすればまた感じられるのか、わからないし、その先が知らないことだから怖くもある。



「みっちょんは、好きな人のこと考えたらどうなるの?」



聞いてから……好きな人いたことあるなのかな?ってちょっと思ったけれど。

みっちょんはすぐに答えてくれた。



「好きな人って、考えるもんじゃなくて、考えちゃうのよ」

「考えちゃう?」

「そう。今目の前にいなくても、あの人だったらとか、今何してるのかなとか、あんなことあったな、こんなことあったなって。頭の中占領されちゃうのよ」

「占領されちゃう……?」



それって誰のこと?

聞こうとした問いは、飲み込んだ。



みっちょんの優しげなその顔に、聞いていいことなのかどうか、わからなくなって、怖くなっちゃったから。

みっちょんには好きな人がいた。

そうその顔が語っている。

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