黒曜の戦場
けれどそれが今も好きな人か、過去好きだった人か、誰のことを考えているのかはわからない。
いおくんのことがあるから、琥珀は気になりもするけど、その答えが怖くもなってしまって。
「そう、なんだね。ありがとうみっちょん、参考にしてみるっ」
ヘタレな琥珀は、胸の内に仕舞いこんだ。
ごめんねいおくん、琥珀、聞けなかったよ。
でもね、あんな優しい顔されたら……好きな人いたんだなって。
それは、わかったよ。
そんなみっちょんは琥珀よりも随分と大人に見えて。
あぁ、いいな、羨ましいなと、少しだけ思ったのだった。
「ということで、いおくんごめんなさいっ」
「俺まだフラれてねぇかんな?」
黒曜にて、まだみっちょんが部活にいる時間帯。
そんなふうに感じたことだけはいおくんにご報告した。
「も、もしふられちゃっても、琥珀は応援していますっ」
「なんで俺振られる前提なんだよ」
「だ、だってあんな優しい顔されちゃったら……いおくん勝ち目ないかも!!?」
「でもこれまでそんな顔見たことねぇんだろ?じゃ周りには今いねぇんじゃねぇの?」
「…………確かに」