黒曜の戦場
36.咲くんのこと考え疲れ?
『俺が琥珀に、恋してるだけ』
よくよく考えてしまうと、なんだかすごい宣言をされたものだ。
「……はく、琥珀」
「……!!はいっ!!」
「この、トーンで雲の間から光が射す表現なんだけど」
未夜くん先生に呼ばれ、琥珀は原稿作業中に指導を受けていました。
未夜くんの取り出したものは、マスキングテープと、この前琥珀が語りに語っていた消しゴム。
「柔らかくぼかすには消しゴムで消した方が綺麗なの」
「え、すごい綺麗!!」
雲の削りの隙間から差し込む光、あの表現を作り出すことができるなんて。
本当、漫画に携わっている人たちの表現方法はすごい。
「この消しゴム、柔らかくて消しやすいね。せっかく琥珀が教えてくれたからいくつか買ったんだよ」
「本当!?そうなの!トーンもこんなに綺麗にぼかせるんだねぇ」
正直、トーンを消しゴムでぼかせるなんて考えたこともなかった。
砂消しは荒いから削れるんだろうなとは思ってたけれど、まさか砂消しとも仕上がりがこんなに違うなんて。