黒曜の戦場
恋愛って、綺麗なことばっかりじゃなくって。
こういう恐怖とか不安とか、今の関係のままでも大丈夫なんじゃないかっていう汚さのようなものもあって。
琥珀はまた、ぐるぐるの渦の中に入り込んでしまう。
「はい!未夜くんの分の玉子焼き!」
「ありがと琥珀。ほんと大好き」
「琥珀も未夜くん大好きー!」
もぐもぐ、お昼ご飯を食べていく土曜日。
今日は赤ちんと青ちん、それから未夜くんと琥珀がアシスタントに入っている。
作業的には中盤に差し掛かった辺りだろうか。
咲くんも玉子焼きとかすきだったりするのかな……?
なんて考えていると。
じーっと琥珀を見つめる視線に、ふと顔を上げる。
隣に座っていた未夜くんが、じっと琥珀を見ていた。
「……な、何かな?未夜くん」
「琥珀なんか……赤い?」
「へっ!?」
どういうことなの!?とほっぺやおでこを手で抑える。
え、え、自分じゃわからないよっ!
「アシスタント作業に集中しすぎた?」
「え、わかんない……でもなんかたしかに背中がぽかぽかするような……」
ふわり、一瞬の目眩。
けれど小さな目眩で体には異常もなくて。