黒曜の戦場
左右を見ても、それ以上の異常は感じなかった。
「眠いのかなぁ……?」
「琥珀には無理してほしくないと思うから、仮眠部屋で…………いや、咲の部屋の方がいいか。寝ておいでよ」
「さ、咲くんのお部屋……!!???」
「そっちのが安全性は高いから」
ビックゥ!!!と肩を上げた琥珀は、お箸を机に落としてしまった。
カランカランと軽い音が跳ねる。
赤ちんと青ちんもこちらを向く。
漂う沈黙が、ただただ気まずい。
「琥珀、咲となんかあったでしょ」
未夜くんのそれは、断定的な言い方だった。
え、琥珀そんなにわかりやすい!?と、さらに顔がトマトのように真っ赤になっていく。
「な、なに、なにもっ別にっ」
「ふぅん」
その時、下から何やら騒がしい言い合いがドアに向かって近付いてきた。
「だから、アンタ目立つんだから迎えとかいらないんだってば!!」
「お前黒曜に出入りするリスクくらい知ってんだろ!?」
「入口からでよくない!?目立つのよその頭のオレンジにでかいバイクは!!ブォンブォンうるっさいのよ!!」