黒曜の戦場
「知恵熱ってこともあるかもね」
「知恵使ったっけ」
…………咲くんのこと考え疲れ……?
いやいや、まさかぁ。
琥珀そんなに弱っち……琥珀弱っちいから有り得るかもしれない?
「知恵熱だったらどうしよう?」
「よく寝なさい?あ、ごはん一応おうどんにしておいたから」
「わぁい」
お腹に優しいおうどん!
これで食べね寝て、また朝お熱を測ろう。
最近、朝夕寒くなってきた。
あの冬がまた、近付いてくる。
もう1年も経つのか、琥珀が琥珀の描きたい絵を描けなくなって。
部屋の壁には、琥珀の絵が飾ってある。
大きな桜の木の絵、琥珀のお気に入りの絵。
その桜の木の下には金髪の男の子がいて、ゆるりとその木を見上げていたんだ。
美しかった、その一瞬を切り取るように描いた。
その絵を見て、ふふっと心が落ち着けられて。
私はすやぁっと眠りにつくのだった。