黒曜の戦場
「さ、さ、さ、」
「同じ部活の子なんでしょう?もう琥珀ったら、一緒に帰って来てるだなんてママ聞いてなかったわ」
「て、展開についていけないよっ!!?」
ねーっと二人で笑い合う咲くんとママン。
もう既にママン懐柔済みだなんて、なんて恐ろしい咲くん……!!!
「ど、どうしてここに……」
「琥珀ちゃん、画材忘れて行ったからお届けにね」
そう言って取り出したのは定規。
36cmの長い定規だ。
あー!確かにアシスタントしてそのまま忘れてきたかもしれない!!
「あ、ありがとう」
「どういたしまして」
にこりといつもの咲くんの笑顔に、琥珀はちょっとだけ見惚れた。
ちょっとだけなんだからね。
ベッドの中からこんにちはなのもあって、どことなく恥ずかしい。
「それにしても、すごい絵だね。1回見てみたかったんだ、琥珀ちゃんの絵」
「……はっ!!何も隠せない琥珀ちゃん部屋!!」
そう、琥珀の部屋には気に入った絵が額縁で飾られている。
その中でも一際目立つ、桜と金髪の彼の絵を、咲くんはじっと見つめていた。