黒曜の戦場


「ほら、なんかいろいろこの子たまってるみたいだし、琥珀は大丈夫だから、ね?」



ちょっとこの子のお話も聞いてみたいと思ったことは、本音だ。

というか、琥珀もね、やられっぱなしじゃいられないのですよっ!!



「あんまり生意気言ってっと咲から天誅食らわされっぞお前。今でも圧かけてきてんのにこれ以上怒らせたらまた退学だぞ」

「……またって何?」

「こっちの話。お前は咲の隣で咲がキレないように見張っておいてろ」



咲くんはさっきからずっと、にこやかそうに、その先輩さんを見ている。

けれど、目は全然反らしていないし、何やらじっとりと見つめているだけだ。

咲くんて……キレることあるのかなぁ……。



「琥珀、ちょっと反論していいですかっ?」

「おお、言ったれ言ったれ」

「甘やかされてる……ってのは、正直そうかもしれない。琥珀は頼りにならないだろうし、でも助けてもらえてるところは甘えちゃってる、でもそれって悪いことなのかな」

「気色悪いっつってんのよ。色目使って咲くんたちを――」

「ねぇ、それって咲くんたちのことまで貶してない?それに、それにね、こんな琥珀に色目なんて使えるとその、お思いで……?」

「…………」

< 475 / 505 >

この作品をシェア

pagetop