黒曜の戦場
「ほら、なんかいろいろこの子たまってるみたいだし、琥珀は大丈夫だから、ね?」
ちょっとこの子のお話も聞いてみたいと思ったことは、本音だ。
というか、琥珀もね、やられっぱなしじゃいられないのですよっ!!
「あんまり生意気言ってっと咲から天誅食らわされっぞお前。今でも圧かけてきてんのにこれ以上怒らせたらまた退学だぞ」
「……またって何?」
「こっちの話。お前は咲の隣で咲がキレないように見張っておいてろ」
咲くんはさっきからずっと、にこやかそうに、その先輩さんを見ている。
けれど、目は全然反らしていないし、何やらじっとりと見つめているだけだ。
咲くんて……キレることあるのかなぁ……。
「琥珀、ちょっと反論していいですかっ?」
「おお、言ったれ言ったれ」
「甘やかされてる……ってのは、正直そうかもしれない。琥珀は頼りにならないだろうし、でも助けてもらえてるところは甘えちゃってる、でもそれって悪いことなのかな」
「気色悪いっつってんのよ。色目使って咲くんたちを――」
「ねぇ、それって咲くんたちのことまで貶してない?それに、それにね、こんな琥珀に色目なんて使えるとその、お思いで……?」
「…………」