黒曜の戦場


お黙りになられてしまった。

それはそれで琥珀はしゅんとしてしまうよ。



琥珀は、お話しできれば、ちょっといいなと思ったよ。

別に、仲良くはなれなくていいの、ただ少し、この人の考えていることが知られたらって。



でも、でもね。



「美術部さんたちが、琥珀のことよく思ってないのは知ってたよ。琥珀は最近絵も描けてないし……学校入ってから一年も経たずに筆が止まっちゃってるし、そういわれるのも仕方ないのかもしれない」



嫌だけど、本当は怖いし、そんなこと言われちゃうのは嫌だけれど。



「でも、でもね、琥珀のこと受け入れてくれたのは咲くんたちなの。黒曜のみんななの。甘やかしてもらってるならその分、いっぱいお返しできるように、琥珀も考えることしかできない」



黒曜に来てから、本当にたくさんのことを与えてもらった。

それはお金で買えない経験だったり、画材や資料の見放題だったり、みんなでお外に出かけたり、思い出という財産だったり。
< 476 / 505 >

この作品をシェア

pagetop