黒曜の戦場
39.まさかビンタが嬉しくて?
なんだかんだで口が悪くても人気者なアイツ。
強くて、絵も描けて、話が合うくせに、下品なアイツ。
方向音痴だし人の名前も覚えらんないくせに、いつも人に囲まれているアイツ。
まっすぐ私の名前を呼んでくれるアイツ。
そんな人が私を見ることなんて、ありえないから。
なにがみっちょんの中で引っかかるのか、考えられる範囲から潰していこう。
琥珀はそう思い立って、黒曜へと、いおくんの元へと放課後向かった。
のだけど。
「潰れてるよ、いおりなら」
「……なんでなの」
「原稿から解放されて、徹夜でゲームしてたって」
なぜなのいおりんりん!!!!!!
未夜くんも呆れた表情でゲームを続けている。
先程からザシュッザシュッギャー!!という音声が入っている当たり、恐らくこれは殺すゲームをしていることだろう未夜くん。
「いおりなら一階のベッド使ってるはずだけど……琥珀一人じゃ入れたくないなぁ」
「いおくん専用、だっけ?」
「そう。まー……前は女連れ込んでたけど最近はないから大丈夫だとは思うけど、でもちょっと待ってて」