黒曜の戦場


「……いおりとリンちゃんと咲ちゃん以外、来てるの下の人たちだから……いっぱいいてわからない」

「……そう、なのね」



あの青髪さん、無事だろうか。

いや、それを言ったらいおりさんも心配なんだけれど。

二人ともちゃんと寝てくれてたらそれでいい。



「未夜くんも、二階にはよく来るの?」

「ん……下にいたり上来たりする」

「原稿……未夜くんもやるの?」



さっき、未夜くんにも入れって雨林さんが言っていた。

絵を描く人間としては、何の作業に入るんだろう?と、ちょっと気になってしまう。



「トーンの時だけ、する」

「トーン……!!」



私がまだ触ったことのない、シールみたいなやつだ!!



「楽しい、から。削るの」



けず……?

削る、の……???



ゲームの続きを始める未夜くんを見つめながら、私は『絵描き』としては初めて聞くその『削る』という作業に、首を傾げていた。

削る?

版画とか、木彫刻とかでなら、削るのはわかる。

削るといえば代表的なのはヤスリだろうけど……絵にヤスリはかけないよねぇ……たぶん。

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