黒曜の戦場
40.春は訪れるのでしょうか?
ひゅるる、冷たい風が過ぎ去っていく。
琥珀はこの場にいていいのだろうか、今なんだか聴いていいのかわからない言葉が聞こえてきた気がするのだけれど、琥珀はここにいていいのだろうか?
繋いでいるみっちょんの手が、ギュッと握られる。
でも痛くない、優しいみっちょんの手。
「やめて、そういうの……私はアンタが今まで引っ掛けてきた女達とは違うの」
そう言って顔を背けるみっちょん。
やっぱりみっちょんはまだ、前の女の子たちとの関係が引っかかっているのかもしれない。
「ほかの女は関係ねぇよ、お前しか見てない」
「……」
「お前と再会してから、俺はお前しか眼中にねぇんだよ」
言ってしまっているのはほぼ告白のようなもので。
琥珀は、本当にこの場にいていいんですか!?
けれどがっしりと琥珀を捕まえているみっちょんの手は緩まない。
琥珀の方がドキドキしてしまう。
けれど、ふとみっちょんの手が熱くなってきているのを感じた。
顔を見上げてみるも、逸らされているのでこちらからは見えず…………。
「ミツハ」
「……そうやって名前呼べば言うこと聞くと思わないで」
「お前だけ、お前にしか興味無い」
「だ、だから、そうやって……」
「ミツハ」