黒曜の戦場
なんで、なんで琥珀巻き込まれてるの?
すると、琥珀を繋ぐ手は変わらず、もう片方の手を上げるみっちょん。
「……別に、アンタが嫌いとかそういうんじゃない」
「……」
「…………頭の整理をさせて」
みっちょんは顔を上げて、いおくんの頬にその手を伸ばし、優しく触れた。
「……所構わずキスしてくるあんたが悪いけど、これはごめんなさい。……行こう琥珀、これ以上は遅れちゃうわ」
どうやら、いおくんのアピールタイムはここで時間切れとなってしまったらしく。
「う、うん」
屋上を出ていくみっちょんに付いて教室に戻る琥珀だった。
すごく、すごく胸がドクドクしてしまっている。
当のみっちょんの顔は見えないけれど、手をしっかりと握っているし、混乱しているかもしれない。
これで……これで二人がいい方向に向かってくれるといいな。
みっちょんは、まっすぐ気持ちをぶつけてくるいおくんを拒否しなかった。
勘違いも、ちゃんと話し合えたみたいで、解決したようだ。
授業中、みっちょんの様子はいつもと変わらないように見えた。
ただ少し、みっちょんにしては大人しすぎた気もする。
ハキハキキビキビ、それがみっちょんだけど……なんだろう、少しそれが落ち着いているように見えていた。