黒曜の戦場
食べ終えたお弁当箱を片付けて、みっちょんは机に突っ伏した。
うぉ、見たことないぞこんなみっちょん。
「なんなのアイツ……ほんとなんなの」
「い、いおくんは真剣だと思うけど……」
「あんな目向けられたらそれは、わかるけど……自分の気持ちに整理がつかないの」
机に突っ伏したまま、頭をフリフリと横に振るみっちょんは、かなり朝のことに困惑しているようだった。
変わらない……ように見えていたけど、隠していたみたいだ。
「私、いおは私のことなんて見てないと思ってた。周りに女の子侍らせて、私はあの中には絶対入らないって思ってた」
「……」
い、いおくん、女の子そんなに侍らせてたのか。
「でもそれって、そう考えてること自体、アイツのこと意識してたってことよね……。意識しないようにしないようにって、意識してたのよ。未練がましい」
「……みっちょん」
「アイツは変わった面もあるし、変わらなかった面もあった。絵を楽しんで描いてるいお、真剣に仕事するいお、私の言いつけになんだかんだで従ういお……」
その時、静かになった教室に現れたその人に、私の目は釘付けになる。
教室にいた生徒はみんな、私たちを遠巻きに静かに見守っていた。