黒曜の戦場
せかせかとお弁当のを出してパカリと開けると、モグモグとリスのようにおにぎりを頬張っている三人の視線が、同時にお弁当箱に向いていた。
「……やべぇ、女子がいる」
「え、このタイミングで言う?」
私、だいぶ最初から女子していましたけれど。
なんなら昨日は女子高生スタイルでしたけれど。
女子らしからぬ量の画材持ってたのは確かだけれど。
お弁当を開けた瞬間に女子を感じる……?
私、実は女子として認識されていなかったのだろうか……?
それはそれで悲しいけれど。
肉食獣の中に放り込まれた草食獣になるよりはマシか。
悲しいけれど……。
「琥珀」
おにぎりをさっきまで頬張っていた未夜くんが、まんまるな瞳でこちらを向いていた。
え、なに、この小動物かわいい。飼っていい?
咲くんが癒しだと言っていた意味がよく解った。
これは癒しでしかない。
「な、なに……?未夜くん」
「たまご、ほしい」
「……たまご?」
こくりと頷く未夜くん。
ブカブカの帽子が同時に目元まで落ちる。かわいい。
たまご。