黒曜の戦場


その顔は、すっと私からズラされてお弁当箱に移る。

どうやらお目当てはこの私の卵焼きらしい。

え、なにそれかわいいな。



すると、再度顔を私に向けて、微かに口を開いてスタンバイする、未夜くん。



……………………んん???

私は混乱する、なぜスタンバイされているのか。

未夜くんの両手はおにぎりで埋まっている。

しかもひとつのおにぎりを両手で持っているのだ。

リスなのかな??

かわいいが渋滞している。



「え、ずるい未夜さん」



白髪くんがここに来てブーイングするけれど、未夜くんは変わらずのスタンバイ状態で。



「あの、箸……」

「ちょうだい」



箸を渡そうと思うも、受け取って貰えず。

え……やっぱりこれは。



『あーん』をご所望で……??



私の、二切れしか入れていなかった、しょっぱめの卵焼きを……?

どうする、琥珀ちゃん……??



「あ、の……うち、甘口派じゃなくて、どちらかというとしょっぱめというか……」

「ん」

「え、いいの?」



私、卵焼きの説明で甘口派の話しか聞いたことないんだけど??(偏見)
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