黒曜の戦場


ダイヤモンドちゃんだったら誰でも知ってたんだろうな。



ダイヤモンドちゃんはちょっと可愛くないな、却下。

琥珀ちゃんは琥珀ちゃんがいいです。

ていうかそもそもここ、『黒曜』って、あれも石の名前じゃなかったっけ?

この子たち知ってるのかしら、水曜、木曜、金曜、黒曜じゃないんだからね??



残りのお弁当に手を付けていると、「あ」と思い出したかのように赤髪くんが声を上げるから、視線だけ彼に移す。



「そう、さっき。ええと昨日俺と一緒にいた金髪の話なんすけど」

「うん?」

「原稿にインク零して、そのページごとダメにしちゃったんで、女神さんが描いてたあのヘッドホンも描き直しになりますって」

「…………は」



私は、一瞬思考を放棄した後、作業台の上へと視線を移す。

そこにはinkと書かれている、インクが、置いてあって。

まさか、まさかあの真っ黒なインクを、原稿に……?



それが……それが今日怒鳴られていた原因か!!!!!!

それは私でも切れ散らかすわ!!!

返して私の描いたヘッドホン!!!!

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