黒曜の戦場


くすくすと、奥から控えめに笑う声が聞こえてくると、その不良の中の不良であるいおりさんとやらの後ろから姿を表したのは、咲くんであった。

さっきぶりの咲くんのエンジェルスマイルである。



「今日すごく元気だね、琥珀ちゃん」

「……生意気でしたでしょうか……?」

「タメ口でも生意気でも態度でかくても、俺が許すよ。そしたらもっと自由にのびのびと振る舞えるでしょう?」

「え、いやいや、え?」



冗談かなにかだろうか?

しかし彼は一応、黒曜の中でいっちばん偉い人なのである。

そして周りもその咲くんの発言に反対意見はないようで……。



え……?

そんな自由でいいの……??

こんな、昨日今日来た右も左もわからない、ちゃらんぽらん女神の琥珀ちゃんが……?



「俺が許可するんだからいいんだよ。昨日今日でかなり怖がらせちゃってたし。それより、今日のインクの件、さっきいおりに話してきたからね」



さらりと告げられるのは、死刑宣告だろうか。



ピシッ…………この場で作業するだろう五人が一斉に固まる。

たらり、冷や汗。

もう……知ってらっしゃる……?

怒る……???

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