黒曜の戦場
先程現実を咲くんから教えてもらったらしいいおりさんが、目つきの悪い顔とひっくい声で、背景の雨林さんに尋ねる。
「パッキン野郎は?」
「……制裁して、咲に渡した」
「あぁ、あの子ね、しばらく預かってるから」
「あぁ?」
『預かっている』と言う咲くんの話に、よりドスの聞いた声で、雨林さんといおりさんがはハモる。
涼しい顔で発言した咲くんの表情は、変わらずにこやかで。
下々の者共は私含めて皆で肝を冷やして震えております。
あくびして首傾げてる余裕そうな人は未夜くんただ一人……肝が据わってるなぁ……。
未だかつて無いくらい怖い雰囲気なのだけれど。
怖い×怖いにふんわり笑顔の和みが加わっても、それすら恐怖なんじゃないかと錯覚してくる。
咲くんも咲くんでよくその二人相手にいつもと変わらずにいられるなぁ……。
「だってすぐにでも手出しちゃいそうでしょう?落ち着くまではお預け、だよ」
「咲さぁぁぁぁん!!」
涙目で安心感を訴えるのは赤髪くん。
彼も友達の安否は不安だったらしい。
「それじゃ、怒りをバネにして〆切まで頑張ってください」