黒曜の戦場
目をこしこし擦って再び未夜くんを見つめると、微かに手のひらを見せて緩やかにこちらへ振ってくれていた。
さよなら、ということなのだろうか。
私も切ない気持ちで手を振り返す。
そんな、受け入れたくない自分の心と戦っているような捨てられた仔犬のような瞳で見つめられてしまったら、帰りたくなくなってしまうじゃないか……!!!
くぅ〜んって幻聴も聴こえてきてしまう。
「え!!女神さん帰るんすか!?」
ようやく事態に気付いた赤髪くんが顔を上げて、昨日の空気のような扱いが嘘だったかのように反応してくれている。
白髪くんも首を傾げてこちらを向いている。
その様子を見て気付いてしまう。
なんと、私は空気から実態のあるものへと、一日で進化を遂げていたのである。
ふぁぁぁ感動……!!
琥珀ちゃんはちゃんとみんなに認識されていますっ……!!!
なお、『女神』に実態があるのかないのかという問題については一旦保留させていただく。
私はまだ地に足をつけている存在でいたい。