黒曜の戦場
「みなさん頑張っている中ですがお夕飯が麻婆豆腐……げふんげふん、遅くなると家族が心配してしまうので帰ります」
「麻婆豆腐」
「麻婆豆腐なんだ……」
「うまそ……」
「やべ、よだれ」
ぺこり、私は皆に頭を下げた。
決して麻婆豆腐が楽しみで自慢したかった訳では無い。えぇ決して。
あ、でも、そのまえにひとつ。
琥珀ちゃんは咲くんの方を向いて尋ねました。
「いおりさん?は、まだここに居ますか?」
朝ぶっ倒れていたいおりさんの件である。
「昨日の部屋にいるよ?」
指をさされた方向は、昨日彼がクロッキーしていた部屋、兼、今朝倒れていた部屋。
ベッドのある部屋にいないということは、起きて作業をしているんだろうか……三徹でぶっ倒れてたくせに。
「お邪魔しても大丈夫ですかね?」
と、許可を頂き、私は咲くんと共に彼のいる部屋へと入らせて貰った。
「ア?なんだテメェ」
「こ、琥珀ちゃんっです!!!」
大丈夫!?
この人昼間にも私に会ったこと忘れてないよね!?