黒曜の戦場


えぇ、でも三徹した人の記憶力が宛にならないのも事実……。



「コハク………………そういや昨日から出入りしてる女お前だっけか」

「そうです」



マジで覚えられていなかった……!!!!

けれど女がここをウロウロしていたことは覚えていたらしい!!

なんかちょっぴり悔しさを感じます。



琥珀ちゃんはそんなに空気なのだろうか……いや三徹してる頭の方が悪いんだきっと。

なんでそれで作業出来てるのか謎でしかない。



机の上では今朝に引き続きカラーイラストを水彩絵の具で描いているようで……書き込みが鮮やかでガチヤンキーとのギャップが計り知れない。

なぜだ……眉間のシワ固定されてんじゃないかってくらい深いのに絵が美しすぎて眩しい……。

その顔とイラストを何度も交互に視線が移ってしまう。

ようやく事実をしぶしぶ受けとめた琥珀ちゃんは、彼に頭を下げてご挨拶。



「お、お邪魔します」

「邪魔しに来たなら帰れ」

「いや!ちょっと渡したい物が!!あるだけなので!!」



お邪魔しますって邪魔しに来たぜって宣言じゃないからね!?

挨拶ですからね!!?

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