黒曜の戦場


後ろで待機してくれている咲くんから「ぷふっ」と笑う声が聞こえたことを、琥珀ちゃんの耳はちゃんと気付いていますからねっ。



ガチヤンキーの怖さにビビりつつ、でも見守ってくれている咲くんもいるので大丈夫だと自分に言い聞かせて深呼吸をする。

カバンの中を漁り、薄っぺらい正方形のソレを三枚取り出す。

ちょっとお弁当の匂いが封に付いていたらごめんなさいだけれど!!!



そして、いざ、睡眠不足であろう彼に渡す。



「あ?」

「これ……蒸気のアイマスク、ラベンダーの香りですっ」



そう、青髪くんが穏やかで深い眠りにつけるようにと渡そうと思っていたアイマスク。

だけれどウコンを飲んで寝ている彼は、今日はここへは来なかったから。



「さ、三徹は体に悪い、ので……!!」



その三枚を両手でトランプの手札ように持って差し出しながら、琥珀ちゃんはほぼ涙目になっていました。

近くで見るとより怖い!!!!

身体中が『コイツやべぇよ』って囁いてきて震える!!!



主に!!顔が!!!!

でもせっかく持ってきたんだから、是非とも安眠の足しにしてほしくて!!

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