黒曜の戦場


「まさか……用ってそれだったとは……っふ」

「睡眠は大事なんですよ!?現に私のこと全然覚えてなかったじゃないですか!!」



学生だと軽視しがちだけどねっ!

寝ないと起きてても頭がスヤスヤモードになっちゃうんだからねっ!!



それで何度顔に絵の具をベチャッてしてきたことか……!!!

水彩絵の具を使っている彼と私が重なり、他人事じゃない。

いや、絶対あの人も絵の具ベチャしてるって。



「いや、割とあの人、俺らのことも女のことも覚えてないから……」



そう赤髪くんが呟くと、白髪くんもうんうんと頷いていた。

未夜くんは首を傾げていて、かわいいけれど。



そもそもいおりさんて人は、人の存在が覚えられない人なのかもしれない。

いや、確かに私も下の人たちの顔みんな覚えられるかと言えば覚えてないし、色が変わってしまったらきっとわからなくなるだろう自信もあるけれど。



「いおりは方向音痴だったり顔と名前一致しなかったり、抜けてるところがあるしねぇ」

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