黒曜の戦場
「神経質な作業してるからね、完全防音なんだよ」
「振動で揺れたりとかは……」
「耐震対策されてるから多少の地震にも強いよ」
にっこり、これまたいい笑顔。
なんというか、この人色々と徹底して対策している所がある気がする。
さすがリーダーさんだ。
それともボス?
あれ、ボスとリーダーって何が違うんだ??
夕焼け空に照らされた紫が透ける黒髪に、オレンジ色も溶ける。
綺麗な髪色してるよなぁ……と見惚れてしまう、咲くんと私と、運ちゃんのいる空間。
甘い目付きを細めて、また綺麗に笑うと、少し顔が近付く。
「なに、見てるの」
……咲くんだって、穴が空いちゃうくらい、見ているじゃないか。
琥珀は口端に力をキュッと入れる。
雰囲気が美し過ぎて、少し緊張しているんだ。
「……私、美しいものが好きなもんで」
「美術してる人だもんね」
「まさしく」
顔のつくりやらラインやら、サラサラと揺れる髪やら、外の色に溶ける色彩や陰まで。
美しいから、私は見惚れてしまうんだと思う。
「もっと近くで見る?」