黒曜の戦場
「……え、いや、その……眺めているくらいが丁度いい、というか……もごもご」
心臓が一瞬、ギュッと縮んだ気がした。
驚いた、んだと思う。
そんなにサラリと誘惑しちゃいけないよ、くまさんになってしまう。
視線を下へと反らした私の視界に映る、彼の指先。
ゆっくりとその手が登ってくるに連れて、心臓がドクドク、早くなってくる。
なに、何の手?どこ……触れようと、してる?
耐えかねてギュッと目を閉じてしまうけれど、閉じたらもっと相手の動きが分からなくて。
失敗したかもしれない────そう思ったとき。
つん、と、頬をつつかれた。
驚いて目を開けて呆然としてしまう琥珀ちゃん。
うん?
……ほっぺに刺さる指先。
その指先はまた、フニフニと私の頬を弄ぶ。
「やわらかぁい」
ふふっと、イタズラが成功したように笑う咲くんに、私の顔はどんどん熱くなって来て。
「え、ちょっ!!からかうとか酷い人のすることなんですからねっ!?」
「いやぁ、可愛かったー……あぶな」
「つつつつつつ、つつく、のな、のなななっ」
「ふふ、かぁーわい」