黒曜の戦場


その時、我を忘れてとんでもないことを口走りそうになった(もう口走ってる)奥の席から、げふんと喉を鳴らす一人の男がいた。

他の誰でもない、ここに来た日からずっとあの席に佇んでいる背景の雨林さんである。

黒縁メガネの上からこちらを射殺しそうな鋭い瞳で瞳孔を開いていらした。



「三人、でした」



そう、未夜くんが居なければこの人と二人きりという事態になっていた所だ。

なにそれ怖い。

昨日ブチ切れてんの聞いてるから余計に怖い……!!!



私は速やかに原稿を広げて作業に取りかかっていく。

もう無駄口は叩くまい……集中して彼への恐怖心を忘れるんだ琥珀ちゃん。

琥珀ちゃんなら出来る、午後には癒しの王子様・未夜くんが来てくれるのだから……!!



そうしてかれこれ3時間、琥珀ちゃんは必死に作業を続けていたのであった。
















ていうか午前中だけで3時間っていうのもなかなかにキツい。

特に腰が。
(細かい作業は前かがみになる)

いや、ずっと力んでいた肩も痛いけれど。

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