黒曜の戦場
ソファーにもたれて背中を伸ばすお昼時。
二段重ねのお弁当箱を抱えたまま、私は天井を眺めていた。
ダメだ、遠くを見ていないと目が霞んでくる。
おばあちゃんか。
むにむにと目を擦っていると、額に冷たい何かが当たり、驚いて目を見開くと、そこにはプルシアンブルーの髪色の奥から覗く真ん丸な瞳が。
「おはよ、琥珀 」
「……お、はよ」
額に当たるのは、今日もブカブカなシャツを着ている未夜くんの指先。
下に着ているだろうタンクトップがチラ見えしていらっしゃる。おっふ……。
下から眺めるその姿も可愛らしすぎて、ずっと眺めていられる。
そーきゅーと、そーぷりちぃ、そーびゅーちふる(←New)。
「……そういえば、なんでおはようなのか、聞いてなかった」
半分ほど思考がもう空中をふわふわと漂っている私は、きっとしばらく彼にどうでもいい話をしてしまうことだろう、許しておくれ。
眼精疲労と頭の疲労が琥珀ちゃんのなけなしの思考力を奪っていくんだ……。
「おはようって……今の?」
「お昼でも夜でも、おはようなの?」
「そうだね」