黒曜の戦場
というか、思っていたよりミッチリ業界に染っているんじゃないだろうか、この現場。
下の子たちはお疲れ様って言ってた気がするから、上の人たちだけ使っているのかな。
「琥珀」
柔らかく名前を呼ばれ、心地良さに瞑っていた瞼を上げる。
未夜くんの視線は私の膝の上……お弁当箱にあった。
「あ、そうだった」
またじっとりとお弁当箱を見詰めている子犬系男子未夜くんの為、私の今日のお弁当箱はちょっとだけ多めなのだ。
「たまご焼き、たべる?」
「!!たべる!」
昨日はたくさんたくさん、未夜くんにカッターの使い方を教えてもらったから。
ほんのちょっとだけど、お礼の気持ちで、多めに入れてきたんだ。
ほくほくと喜んでくれているらしい未夜くんが私の座る隣に腰掛けると、この二階と外を繋ぐ扉が開かれた。
今日もコンビニ袋に大量のおにぎりを買ってきたらしい下々ーズは、どうやら毎日お昼の度に倉庫の外にあるコンビニへと買い出しに行ってきている様子。
男の子三人がかりで10は越えるおにぎりたちがすぐに無くなってしまうのは、もはや清々しい。