ユーサネイジア ー安楽死ー
対物性愛?メカノフィリア?いや、しかしこれまでにそのような兆候は見られなかった。
この孤児育成プログラムでも聞いたことのない事例だ。
『――人間という生物が、解らなくなってきました』
『まぁ残酷ではあるが、これまでのことを思うと引くとも思えねぇからな、あの坊主は』
『本人の意思を尊重することもまた大事なんですよ、日葵さん。恋は理屈じゃないんです』
おかしい、なぜ反対する人間がいないのだろうか。
確かに子供が欲しければ養子という選択肢もある、それはこれまで子供を育てて来たワタシもよく知っている。
けれど、本当にこれでいいと言えるのだろうか。
宵の人生を、アンドロイドのワタシが潰してしまうことに――。
『宵くんは日葵さんとのペアリングを終えた後も、毎月ギフトを本部宛に送り続けて来たくらい、日葵さんのことを忘れられなかったんですよ』
『……』
『もし嫌でなければ……というのもおかしい話かもしれませんが、もし日葵さんの都合が悪くなければ、彼の気持ちを受け取ってあげて欲しいです』