ユーサネイジア ー安楽死ー
席には、俺が通いつめて困らせた本部の人達や、日葵のメンテナンス技師、善や里親になってくれる父母まで、来てくれていた。
日葵が世話してくれていた頃の俺の同級生も、日葵から俺を引き取ってくれた両親も一緒に。
ウエディングドレスの日葵と、善と、俺と、たくさんの幸せな写真を撮って。
二人で薬指に指輪を付けた写真も撮って。
善の里親や俺の両親とも一緒に、家族写真も撮って。
この幸せをめいっぱいに噛み締めていた。
「日葵、愛してる」
この先何があっても、いくつになっても、俺は君を忘れないことだろう。
次の日にはその稼働が停止すると、薄々気付いていても。
間違いなく、俺の人生で一番幸せな日だった。
孤児育成プログラム『インプリンティング』は、幼児期に引き取った子供をアンドロイドが12年保育し、その後里親へと引き渡すシステムだ。
アンドロイドにはない、人間的な柔らかな思考を『提供者』から借りる。
つまり、その『提供者』の寿命がアンドロイドの寿命ともなる。