君の気持ち嬉しかった
今年も「バレンタイン0個だ」自慢をしながら友達と帰る。

学校から一番遠い場所に住んでいる俺は、最後必ず1人になる。

一人のときは石をボールの代わりにドリブル練しながら帰っていた。

足元に意識がいっているため、前から来る人影に気づかなかった。

「玲太くん」

薫?

「これ良かったら」

渡されたのは、オシャレな袋に入った可愛いチョコレート。

薫は返事すら聞かず、走って消えていった。

一緒にいるところ誰かに見られたらまた茶化されるから。

そういうところにも気が回るとても優しい子だ。

ありがとう、の一言くらい欲しいのが女心なのにそれを押し殺したのだ。
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