義兄の甘美な愛のままに~エリート御曹司の激情に抗えない~
義兄の用意した新居は半蔵門の高層マンションだった。
皇居がよく見える都心ど真ん中である。

天ケ瀬家は中目黒に大きな屋敷を構えていて、天ケ瀬グループ本社自体は渋谷の松濤にあるので、半蔵門なのは通勤を考えてのことだろうか。
いや、義兄は車で通勤しているようだから、あまり関係ないかもしれない。この部屋を選んだのは、義兄の好みだろうか。

そんなことを考えているうちに私の荷物搬入はあっという間に終わってしまった。大学も寮暮らしをしていたので、もとからそれほど荷物が多くないのだ。

午後には義兄の荷物が業者によって運び込まれた。
一緒に冷蔵庫やテレビなどの家具家電も新品が運び込まれてくる。何もしなくていいと言われたものの、家具は設置場所を決めなければならない。どこに何を置けばいいやらと悩みながら、それはそこで、これはあちらでと指示しているうちに午後は過ぎていった。
食器や調理器具もすべて新品が用意されている。しかし、食材がない。夕食の時間になるが、どうしようか。
義兄はすべて手配済だと言っていたから、余計なことはしないほうがいいのかもしれない。

それでも、お茶やコーヒーくらいは買ってこようと外に出た。
近くにはコンビニと、ミドルプライスのスーパー。確か私の就職先も、このスーパーと取引があったなあなどと思いながら買い物を済ませた。
ペットボトルのお茶と牛乳とパン、インスタントコーヒーの粉。お酒はいるだろうか。義兄は飲むだろうけれど、私と一緒に飲むかはわからない。
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