義兄の甘美な愛のままに~エリート御曹司の激情に抗えない~
「もう、お兄ちゃんなどと呼ばなくていい」
その冷たい言葉と響きに私の胸がぎゅっと痛む。やっぱり、私が義妹なのは彼にとって嬉しいことではないのだ。
「あの……じゃあ」
「丞一、と呼べ。名前でいい。呼び捨てだ」
突然の命令口調に私は戸惑った。お兄ちゃんと呼ばずに名前で呼び捨て……それじゃあ距離が近づいてしまう気がするのだけれど。
私は困惑して、義兄からビールグラスを受け取りながら言う。
「あ、あのね。嫌じゃなければ、これからもお兄ちゃんと呼ばせてもらっても……いいかな? ずっとそうだったから……」
義兄は嘆息し、自身のグラスにビールを注ぎながら頷いた。
不機嫌な義兄とこれ以上どんな会話をしていいかわからない。ひとまず乾杯してみるものの、そこからはグラスに唇を押し付けて困り果ててしまう。
「ぼたん」
「う、あ、はい」
「なんだ。その反応は。……おまえの就職先だが」
義兄は言葉を切って立ち上がる。カバンから書類の入ったファイルを出してきた。
「お兄ちゃん、これは?」
「天ケ瀬グループ内で今から入れる企業だ。転職してもらう」
「え!? なんで?」
「親父はおまえに天ケ瀬内で就職してほしいと希望している。俺もそうだ。おまえが明日から出社する会社には、俺の方で手を回す。安心して転職を考えろ」
「い、嫌です」
私は思い切って言った。
「これからは、お兄ちゃんとお父さんの迷惑にならないように生きていくつもりだから。私も成人したし、大学も出してもらえた。自活していける。これ以上天ケ瀬グループのお世話にはなれない」
その冷たい言葉と響きに私の胸がぎゅっと痛む。やっぱり、私が義妹なのは彼にとって嬉しいことではないのだ。
「あの……じゃあ」
「丞一、と呼べ。名前でいい。呼び捨てだ」
突然の命令口調に私は戸惑った。お兄ちゃんと呼ばずに名前で呼び捨て……それじゃあ距離が近づいてしまう気がするのだけれど。
私は困惑して、義兄からビールグラスを受け取りながら言う。
「あ、あのね。嫌じゃなければ、これからもお兄ちゃんと呼ばせてもらっても……いいかな? ずっとそうだったから……」
義兄は嘆息し、自身のグラスにビールを注ぎながら頷いた。
不機嫌な義兄とこれ以上どんな会話をしていいかわからない。ひとまず乾杯してみるものの、そこからはグラスに唇を押し付けて困り果ててしまう。
「ぼたん」
「う、あ、はい」
「なんだ。その反応は。……おまえの就職先だが」
義兄は言葉を切って立ち上がる。カバンから書類の入ったファイルを出してきた。
「お兄ちゃん、これは?」
「天ケ瀬グループ内で今から入れる企業だ。転職してもらう」
「え!? なんで?」
「親父はおまえに天ケ瀬内で就職してほしいと希望している。俺もそうだ。おまえが明日から出社する会社には、俺の方で手を回す。安心して転職を考えろ」
「い、嫌です」
私は思い切って言った。
「これからは、お兄ちゃんとお父さんの迷惑にならないように生きていくつもりだから。私も成人したし、大学も出してもらえた。自活していける。これ以上天ケ瀬グループのお世話にはなれない」