義兄の甘美な愛のままに~エリート御曹司の激情に抗えない~
「お兄ちゃん……何を言って……」
「見ていればわかる。おまえがずっと俺を好いていたこと、今もなお、想っていてくれること」
「ち、ちが……う」
「やっとおまえの傍にいられる。その立場を手に入れた。これからは俺がおまえを守る。……だから、俺のものになれ」

驚きと困惑で首をねじって後方の義兄を見上げると、顎をとらえられ強引に口づけられた。
初めてのキス。ファーストキスを、義兄に奪われている。

「ま、って、いや」

身体をよじって逃げようとするけれど、逆に正面から抱きしめられた。
背後はドアで逃げ場は完全にない。
義兄は大胆に私の唇を味わう。唇を食み、角度を変えて深く組み合わせてくる。歯列を撫で舌を絡め、吸い上げる。唇の端からこぼれた唾液すら、ぺろりと舐められ、私は感じたこともないような身体の疼きを感じた。手足に力が入らない。立っていられない。

「だ、め。おにいちゃ……」

それでも必死に義兄の身体を押しやる。
散々私の唇を味わい尽くし、義兄はそっと顔だけ離した。大きな手はまだ逃すまいと私を捕まえている。

「他の男とこういうことはしていないな?」
「して、ないよ……でも、そうじゃなくて」
「ぼたんに悪い虫がつかないように逐一監視はさせていたが、甲斐があったようだな。ぼたんのすべては俺がもらう」
「そうじゃない。そうじゃなくて、お兄ちゃん」

私はその熱い視線から逃れるようにかぶりを振った。
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