義兄の甘美な愛のままに~エリート御曹司の激情に抗えない~
「お兄ちゃん、お水を持ってくるね」
「ここにいろ、ぼたん」

そう言って力の入らない腕を私に回してくる。腕自体が重たいので、首にかけられたらその重みで私は義兄の胸に沈んでしまった。

「お兄ちゃん駄目」
「そう言うな。どうせ、今夜は何もできない。身体が反応してくれそうもない」

何かする気だったとしたら困る。と思いつつ、先ほどはっきりと告白してしまったことを思い出した。酩酊していて、聞き逃してくれているってことは……たぶんないと思う。

「ぼたんの気持ちは、明日あらためて聞かせてもらう」

やっぱり聞こえていたようだ。私は言葉に詰まって、胸に顔をうずめたままうめいた。

「ちゃんと聞かせてくれ」

私は観念して頷き、義兄が眠りにつくまでそうしていた。
もうごまかしてはいられない。私は未来を選ばなければならない。勇気を出して。




翌朝、起きだした私はまず洗濯機を回した。窓をあけ空気を入れ替えて、床を軽くフローリングワイパーで拭く。コーヒーメーカーをセットし、義兄の様子を見に行いった。

「おはよう、ぼたん」

ベッドの上で、義兄は起きていた。

「身体、平気?」
「ああ、もう平気だ。今起きる」
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