義兄の甘美な愛のままに~エリート御曹司の激情に抗えない~
夕食もなかば出来上がった頃に、丞一から会社を出るという連絡がきた。車で帰宅するので間もなくだ。
そのとき、家のインターホンが鳴り響いた。エントランスで誰かが呼んでいる。
「はい」
『雄太郎です。ぼたんちゃん、ひとり?』
インターホンから聞こえてきたのは雄太郎さんの声だった。
嫌な感じがする。こんな時間にどうしたのだろう。急に尋ねてきたことは以前もあったけれど、彼からは悪意しか感じなかった。
「あの、丞一さんはまだオフィスですので」
断り文句として口にした。すると、雄太郎さんが「ああ」と困ったようなため息をついた。
『まずいことになってるんだ。その相談に来たんだけど、帰るまで待たせてもらえないか?』
「まずいこと?」
『天ケ瀬本社内で、丞一のヘイトが溜まっている。あいつを貶める動画が投稿サイトにアップされてるんだ。女遊びがひどいとか、横領をしてるとか。SNSにもまとめがあがってる』
「え、そんな。あり得ません」
どう考えても嘘としか思えない情報だ。
しかし、それをこの人は教えにきたというのだろうか。なぜ、家まで来たのだろう。会社で話せばよかったのに。
『誤解しないでくれよ。確かに蘭奈が丞一に振られたのはむかつくけど、丞一や社長にヘイトが溜まれば、天ケ瀬が揺らぐ。そうなると、原賀家も立場が危ないんだよ。だから、わざわざ相談にきたんだ。職場では誰が聞いているかわからないから話せなかった』
そのとき、家のインターホンが鳴り響いた。エントランスで誰かが呼んでいる。
「はい」
『雄太郎です。ぼたんちゃん、ひとり?』
インターホンから聞こえてきたのは雄太郎さんの声だった。
嫌な感じがする。こんな時間にどうしたのだろう。急に尋ねてきたことは以前もあったけれど、彼からは悪意しか感じなかった。
「あの、丞一さんはまだオフィスですので」
断り文句として口にした。すると、雄太郎さんが「ああ」と困ったようなため息をついた。
『まずいことになってるんだ。その相談に来たんだけど、帰るまで待たせてもらえないか?』
「まずいこと?」
『天ケ瀬本社内で、丞一のヘイトが溜まっている。あいつを貶める動画が投稿サイトにアップされてるんだ。女遊びがひどいとか、横領をしてるとか。SNSにもまとめがあがってる』
「え、そんな。あり得ません」
どう考えても嘘としか思えない情報だ。
しかし、それをこの人は教えにきたというのだろうか。なぜ、家まで来たのだろう。会社で話せばよかったのに。
『誤解しないでくれよ。確かに蘭奈が丞一に振られたのはむかつくけど、丞一や社長にヘイトが溜まれば、天ケ瀬が揺らぐ。そうなると、原賀家も立場が危ないんだよ。だから、わざわざ相談にきたんだ。職場では誰が聞いているかわからないから話せなかった』